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パプーリとフェデリコ 

著  者:ガブリエル・バンサン
出版社:ブックローン出版
出版日:1996年06月 第1刷発行

あらすじ
森にひとりで暮らす老人と
そこで一緒に生活をすることになった少年の物語


冒頭、
パプーリ(老人)がフェデリコ(少年)の
帰りを待っている場面。

戻ったフェデリコはそんなパプーリをみて、
「しんぱいだったかい、パプーリおっちゃん。
 かえってこないとでも、おもった?」
と問いかけます。

小学生の頃、遊びに夢中になり
門限を大幅に過ぎて家に帰ったら
両親にとんでもなく怒られたときのことを
思い出しました。

そのとき僕は、
「なんでここまで怒られるんだろう。」
と不思議に思ったものです。

森でひとり気ままに暮らすことを選んだ老人が、
子どもを預かる事になります。

老人は子どもを預かることを
まっぴらだと思っていました。

子どもは老人のところへくるまで
「ワル」い子でした。

そんな二人がお互いを
掛け替えのない存在だと感じながら生活する様子を
バンサンが優しく描きます。

誰かを必要とし、
誰かに必要とされたいと思うこと。
あなたが必要だと伝え、
また伝えられること。

それは僕たちにとって
食事をするのと同じくらい欠かせないことです。

でもそれは、照れや強がりに隠されてしまい
見失うことも多いものです。

そんな素直な気持ちを思い出したいとき、
僕はこの本を読み返します。

■パプーリとフェデリコ シリーズ
■ガブリエル・バンサンの作品

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アンジュール 

著  者:ガブリエル・バンサン
出版社:ブックローン出版
出版日:1986年5月 第1刷発行

あらすじ
デッサンだけの絵本
飼い主に捨てられた犬の旅。


きっかけは
『絵本を抱えて、部屋のすみへ(著:江国香織)』だった。
その中に絵本作家ガブリエル・バンサンの紹介がある。

「『アンジュール』をはじめてみたときのショックはいまだに鮮明だ。
 本屋に積まれたその絵本から、目がそらせなかった。」
と書いてあった。

バンサンの絵には表情がある。
表情からはなんと沢山の感情が流れ込んでくるのか。
その奔流に僕の心は押し流されてしまった。

アンジュールは犬が主人公だ。
飼い主に捨てられるところから物語ははじまる。

アンジュールにテキストはない。
デッサンだけで構成された簡潔な内容だ。
普通にページをめくれば
読み終えるまでに5分と掛からないだろう。

しかし、読者は自らの記憶を検索し、
体験によってサンプリングされた素材を使って、
音・匂い・温度・風景を補完する。
それは自分の根源を辿る濃密な旅になる。

良い絵本とはなにか。
それは理性や論理ではなく、
本能や感情に触れてくる作品だと僕は思う。

本書を読み終えたとき
犬は自分になっていて
旅を終えた安心に包まれている。

■絵本を抱えて部屋のすみへ
■ガブリエル・バンサンの作品

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西巷説百物語 

著  者:京極夏彦
出版社:角川書店
出版日:2010年7月24日 第1刷発行

あらすじ
巷説百物語シリーズの第5弾。
関西版巷説百物語。


本書を読んでいると、
湿り気を帯びた生暖かい空気が纏わりついてくる。
耳元でハァハァと生臭い獣の息遣いが聞こえてくる。
自分の後ろに誰かの気配を感じる。
それが妖怪だ。

だが、妖怪はいないのだ。
人の世で行われる事、全て人の行いである。
しかし、人が信じるならば、妖怪はいることになる。
今あなたの後ろにいる正体不明の気配はなんであろうか。

この物語の主人公たちは、
大店の旦那、評判の鍛冶屋、村を守った庄屋など
成功者として登場する。
だが、傍から見れば果報者である彼らは疚しさを持っている。
自分自身では気づかない、あるいは見て見ぬ振りをしている
見たくないから蓋をした、心の影に妖怪は潜むのである。

心の影で泣くことになった人々の依頼を受けて、
林蔵の仕掛けは妖怪に心の蓋を開けさせる。

「林蔵はただの帖屋ではない。
 二ツ名を靄船(もやぶね)の林蔵という、小悪党である。
 (中略)
 口先三寸の嘘舟に乗せ、気づかぬうちに相手を彼岸に連れて行く――」

林蔵の仕掛けによって、現実と真実が入れ替わるとき、
気が付けば読者も京極夏彦の靄舟の上である。

■巷説百物語シリーズ
■京極夏彦の作品

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楊令伝 

著  者:北方謙三
出版社:集英社
出版日:2010年10月26日 第1刷発行

あらすじ
梁山泊炎上から三年。
各地に散った好漢たちが再び志を胸に楊令の元へ終結する。


北方・水滸伝の続編です。
昨日23日に、最終巻の15巻が発売されました。

前作の水滸伝は、
原典を元にした北方謙三のアレンジでした。
楊令伝は完全オリジナルです。
水滸伝では楊志の遺児として、
オリジナルキャラの楊令が登場します。
その楊令を主人公に、前作の登場人物の息子たちの物語です。
もちろん前作からの好漢たちも活躍をします。

北方・水滸伝の魅力はその登場人物にあります。
梁山泊軍だけで108人を超え、宋軍を加え200人以上になるだろう
登場人物達は、その一人一人の顔が映像で思い浮かぶほどに
個性的で魅力的なキャラクターを持っています。

そして、「男の死に様、すなわち如何に生きるか」
がテーマの北方謙三の作品です。
その登場人物達が次々に戦いに散っていきます。

楊令伝も読み始めたときから
夢破れる儚さを予想していました。
それでも、その魅力溢れる人物たちの活躍に興奮し、
散りゆく姿に寂しさを感じながら
ページをめくる手を止める事ができません。

15巻を心待ちにしていましたが、
手にとった瞬間から胸の詰まる思いでした。
楊令はどう生ききるのか。

この結末にやはりと思いましたが、
それでもまさかという終わりが待っていました。

水滸伝の魅力は登場する人物たちです。
どんな結末であろうと生き様をみれて良かった。

■水滸伝
■北方謙三の作品

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