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Story Seller 1 

著  者:伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、
     佐藤友哉、本多考好、道尾秀介、米沢穂信
出版社:新潮社
出版日:2009年1月 第1刷発行

あらすじ
面白いお話、売ります。
7人の作家の短編集。


「面白いお話、売ります。」
このキャッチコピーに感心しました。

7人の作家の短編集。
第1巻は、伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、
佐藤友哉、本多考好、道尾秀介、米沢穂信
というメンバーが参加しています。

短編とはいっても
1話が100ページ近くあり
文庫本の3分の1程度で
読み応えは十分です。

本読みにとって、
まだ読んだことのない
自分好みの作家との出会いは
喜びです。

この本は、本読みにとっての
ダイヤの原石探しになることでしょう。

原石と言っても、すでに光り輝いているのですが、
僕は近藤史恵さんの本を読んだことがなく
この本で彼女のファンになりました。

この本では「サクリファイス」の続編で、
以前の話が書かれています。
他の短編はとりあえず後にまわして
読み終えてすぐに「サクリファイス」を読んでしまいました。

「面白い話、買います。」です。

本読み冥利に尽きる本です。
現在、第3巻まで刊行されています。

-------------作家さんのプロフィール-------------
伊坂幸太郎近藤史恵有川浩
佐藤友哉道尾秀介
-----------------------------------------------

■Story Seller シリーズ

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A3 

著  者:森達也
出版社:集英社インターナショナル
出版日:2010年11月26日 第1刷発行

あらすじ
松本サリン事件から16年
当時から取材を続ける森達也がオウム真理教を描いたドキュメンタリー


本書に描かれているものは、恐怖だ。
心の中の奥のさらに奥、暗い穴の底に堆積する泥を汲み上げられて、
それを目の前でひっくり返えされた気分になる。

著者の森達也は松本サリン事件を起こしたオウム真理教を描いた
ドキュメンタリー映画「A」「A2」を制作している。
その続編が本書「A3」だ。

松本サリン事件から16年、
裁判は進んだ。
だが、事件の真相はどこへ消えたのだろうか。
あれほど加熱した報道も
今となっては僅かな結果しか伝えない。

本書は「事実に迫る」というスタンスで作られた作品だ。
オウムを必要以上にバッシングしない。
だが「オウム=悪」という図式の中では、
「バッシングしないこと=オウムの肩を持つ」
と思われることがある。
だから、まず断らなければならない。

本書はオウムを擁護するものではない。
それを薦める僕もオウムを擁護したいのではない。

僕は事件とは直接関わりはない。
身近な人で言えば間接的な関わりもない。
メディアの中での話しだ。

ただし社会という接点で関係から逃れられる人はいない。
事件の真相に迫る中で、
事件以前と事件以後で社会がどのように変容したのか、
何故、変容してしまったのかについて本書は語る。

社会全体が誰も気づかない間に
少しづつ泥の中へ沈んで行く様子が記録されている。
それは皆の暗黙の総意の下で行われた。

嫌な気分になる本だ。
だが、気づかないうちに
自分が何を行ってきたのかを
知りたいという気持ちが
この重たい本書を最後まで読み通す動機になった。

著者は「A」「A2」と映画として発表をしてきた。
本書にこう書かれている。
「それほどに『A2』は不入りだった。
 民意に反した映画など誰も観に来ない。
 オウムへの視点など誰も求めていない。
 観客がほとんどいない客席を
 扉の隙間から眺める思いはもうしたくない。
 だからこそ映画版『A3』の撮影を、僕は中途で断念した。
 映像から活字へと仕事の領域をシフトした。
 苦しかった。辛かった。今さら簡単には戻れない。」

森達也は元テレビマンとして、
メディアはそれ自体が持つ性質に、
視聴者が知りたいと思うものを流す傾向がある。
嘘ではないが、真実の一部を切り取って
それを全部であるかのように錯覚させる。
と語っている。

視聴者に情報を取捨選択する能力が必要
ということだ。

それに倣うなら、本書もドキュメンターではあるが、
中立な立場で事件を見ようとする
森達也のバイアスが掛かっている。
そのことを意識して
それぞれに見える真実を考えてみて欲しい。

----この本をより詳しく読むためのキーワード----
⇒森達也 ⇒オウム真理教
⇒松本サリン事件 ⇒地下鉄サリン事件
-------------------------------------------

■森達也の著作

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芸術闘争論の追記 

今回は書評ではありません。

11/11にスタンダードブックストアで行われた
「村上隆の闘争論3」というトークイベントへ行ってきました。

前回の「芸術闘争論」の追記として
イベントの感想を書こう思います。

本の内容をさらに詳しく、
ハイアートにおけるコンテクスト(文脈)の読み方や、
書籍では乗せる事の出来なかった実例を参考にした
作品の構図の解説など、
2時間に渡る芸術の講義でした。

トークイベントの中で印象的だったのは
村上さん(以下敬称略)の話の中で
「マーケティング」「トレンド」「プレイヤー」
という言葉が頻繁に登場したことです。

ハイアートに何故、高額な値段が付くのか。
それは、コンテクスト(文脈)に沿った
制作がなされているからだと村上は言います。

では、そのコンテクストは何か。
具体的に言えば、ピカソのキュビズムであり、
デュシャンの便器、ウォーホールのマリリンモンローです。

ピカソは平面の中に立方体(複数の視点)で絵を書きました。
これはその当時までの平面で絵を書く事を否定して
絵画のコンセプトを先へ進めたことになるわけです。
この積み重ねが文脈です。

このコンテクストの現在を
村上は「トレンド」と表現し、
それを調べることを「マーケティング」
作家を「プレイヤー」と呼んでいるようでした。

最後の質疑応答で
「芸術と商業の境界線は?」という質問に対して
「芸術(ハイアート)=商業」
だと彼は答えました。

この断言を僕は凄いと思いました。
「芸術=純粋」という空気のある日本で
彼が反発をされる理由はここにあるのでしょう。

彼はお金にならない芸術を否定しているわけではありません。
純粋な内面世界から作り出す作品をダメだと言ってもいません。

世界でプロの芸術家として(ハイアートの世界で)活躍するためには
どうすればいいかという話です。

僕がどんなに説明したところで
村上さんの理解度に及ぶべくもないので
内容についてはぜひ一度本を読んで見て下さい。

芸術闘争論 

著  者:村上隆
出版社:幻冬舎
出版日:2010年11月 第1刷発行

あらすじ
前作「芸術企業論」から六年。
新たな経験を元にアップデートされた新村上隆芸術論。


ざっくり言うと前作「芸術企業論」は
「芸術家はどうやって飯を食うのか。」
という内容でした。

本書、「芸術闘争論」は
「芸術家が飯を食うことを
 継続するにはどうすればいいのか。」
という内容です。

芸術とお金の話です。

村上隆は現在の日本の芸術家の
トップランナーであるとともに
名プロデューサーです。

彼のすごいところは、
自身が作家でありながら
セルフプロデュースをする事ができる
能力がある点にあります。

作家は作品を作ることに
全力を尽くします。
作品制作は主観的な作業です。
プロデュースは客観的な作業です。
これを両立させることは
とても難しい。

その彼が今までの実践と経験を元に
現在のアートシーンとアートマーケットについて
何故そのような状況ができたのかという部分から
生き残るためにはどうすればいいのかまで
分かりやすく読者に教えてくれます。

彼の目的は世界のアートシーンへ
日本人アーティストを200人輩出すること。

本書の目的はアーティストの育成にありますが、
良いアーティストを育てるためには
良いマーケットが必要になります。

そのため本書は
「第一章・今日のアート、第二章・鑑賞編、
 第三章・実作編、第四章・未来編」
という構成で前半はアートを理解するための
講義になっています。

アート従事者だけではなく
アートに興味がある人にとっても優しい内容です。

芸術とお金の話を一緒にすると
アレルギーが出る人は多いでしょう。

でも、芸術家も飯を食う。
いい生活をしたいというのは当たり前の欲望です。
いい生活をしたいからいい作品を作る。
僕はそのことをとても真っ当な事だと思っています。

村上隆について色々なイメージがあると思います。
ですが、バイアスを掛けずに彼の言うことを
考えてみて下さい。

村上隆は東京芸術大学における
日本画科初の博士号修得者でありながら
卒業後に飯を食うことができない状況を経験しています。

日本で一番と言われる芸術大学をでていながら
それでもアートで生活することが出来ない状況で
彼は何を感じたのでしょうか。

その経験があるからこその、
彼の芸術対する真摯な態度に
僕は納得してしまいます。

--より面白く読むために事前に知っておくといい芸術家--
⇒村上隆 ⇒アンディ・ウォーホール
⇒マルセル・デュシャン ⇒ドナルド・ジャッド
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■村上隆の著書

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46年目の光 

著  者:ロバート・カーソン
出版社:NTT出版
出版日:2009年07月30日 第1刷発行

あらすじ
3歳で視力を失ったマイク
46歳で光を取り戻す


本書はノンフィクションである。

マイク・メイは3歳で事故で失明し、
46歳で光を取り戻す。

著者=マイク・メイではない。
そのためか少々彼を褒めすぎている感じがする。
マイクという人物は実際にすご人物ではあるのだが、
繰り返される彼の経歴の披露に
読み物としては間の空いた印象を受けるかもしれない。

しかし、本書の魅力は、
全盲の人の感じている世界を知る事と、
普段、僕達が感じている光の世界を知る事にある。

マイク・メイは影と色を区別することが出来ない。
人の表情を認識することができない。

僕達は無意識に視覚からの情報を取捨選択し、
適正な判断を行うことができる。
しかし、それは今までの膨大な経験の蓄積の結果
そう見えている事を知ってるからに他ならない。

では、43年ぶりに光をみた
マイクの目に映ったのは
どんな世界だったのだろう。

彼の経験を通して
視覚することの仕組みを知る。

----この本をより面白く読むためのキーワード----
娘細胞
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